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中国、芙蓉鎮にホタルは飛ぶか

HN
太平洋戦争末期、海軍特別攻撃隊基地鹿児島知覧に一匹のホタルが飛んだ。明日の命運を知る少年兵と食堂のおかみとがホタルの飛ぶ行方に息をこらし、戦慄した。昨日特攻機で体あたりした死んだ兵士の諦念と怨念の光に青白く光ったホタルだったのです。
新作映画『ホタル』は、もうひとつのホタルを海を渡って飛ばせている。韓国の丘の上に跳んだホタルは、祖国の家族へ向けた愛情と死の怨念を、もはや思わしめるでもなく無心に“故郷”の空をとぶ男の霊を表現するかのよう。日本の同じ基地知覧から飛び立って死んだ韓国人の帰郷への思いを体現するホタルとしてです。
その叙情的な描写に、一本の映画を観賞した上での、納得は感じたので、あらためて書き留めてみました。ホタル二匹の描写には日本の犯した戦争の過りを、糾弾する調子も感じられます。あの戦争を経験せざるを得なかった人間を描写し、そのつながりを、現代にひきずっての映画ですから。ただ静かです。叙情的と言えるほどに。
強く感情を反応させるのは女性が二人いました。一人は、死に赴こうと特攻機に搭乗する韓国人兵士に向かって、自分も乗せていけと駆け寄ろうとする彼のいいなづけの日本人女性。彼女はのちに、兵士の同僚、この映画の主人公役(高倉健)の妻となっています。基地知覧の町の食堂のおかみ(奈良岡朋子)は、幾多の特攻の若者の最期の席で食事の世話をしてやっていた。現代に生き残っていて、彼女の苦労を周囲に感謝されたときに、激した口調で、あの人たちの死を親は望んだかと言って号泣します。
出てくる日本人の男たちの静けさが印象的です。死を前にした韓国人兵士もしかり。ただ彼ははっきり日本のためには死ぬ気はない、自分の祖国韓国のために死ぬと言い切って飛び立ちます。命運あって現代に生き残り、漁業に生計をたてる高倉健も、訪問してきた新聞記者の取材に口を閉ざし多くを語らない。
彼とのその妻(田中裕子)は、妻の往時のいいなづけ前述韓国人兵士の遺族の韓国での所在が確認されたことをしおに、韓国行きを決心する。遺族との会見。感情を激させて日本人としての訪問の二人を譴責する家族男性二人が描写されるが、韓国のお母さんは黙って遺品を受け取り、生きていれば息子の嫁になったであろう日本人田中裕子を抱きしめる。
寡黙な男(井川比佐志)は、やはり特攻作戦で機の不調から彼の意思とは逆に生き残り、余儀なく帰還したとの慙愧の思いで、東北で余生を送っていた。ある日、昭和天皇の死を知った直後,彼は八甲田山中にその生を終えてしまう。黙ったままに。ホタルは直接言葉を表現しない。文章も書かない。映画中にホタルの描写を見たら、何かを感じるのは人間である。死への同情を感じはさせる描写ではありましょう。
芙蓉鎮にホタルはいるかもしれないが、中国映画『芙蓉鎮』にはホタルは似つかわしくないように思えました。中国映画『芙蓉鎮』の終わりに描かれたドラの音は間違った政治に音高く警鐘を鳴らす映画的効果は充分だと見る事ができ、かつ聞こえました。映画的効果の面では、音声入り、目での認識も出来る芙蓉鎮の“ドラ”に効果が強いようです。あのドラを鳴らしていた男はいつの時代、どこの国でもありそうなこと“政治の季節?”がやってくると、たしか言っていたのではないでしょうか。 生活上の精神を犯されつつも。よくは言えないことをうまく表現する。映画の大事なところだと思います。
映画『ホタル』と映画『芙蓉鎮』の無理で欲張りな”こじつけ”半端な感想文です。

『ナバロン』2本だて

くわ
テレビでですが久しぶりに映画らしい映画を見ました。
先週(先々週?)のはじめにBSで二夜連続で放映された「ナバロンの要塞」(グレゴリー・ペック、アンソニー・クインほか)「ナバロンの嵐」(ハリソン・フォード、ロバート・ショウほか)の2本です。
多分有名な映画なのでほとんどの方はご覧になっていると思いますが、こういう映画を今まで見ていなかった私は損していたような、初めて見て得したようなまだの方は機会があったら是非ご覧ください。
**「ナバロンの要塞」は、何気なくテレビをつけたらグレゴリー・ペックの端正な顔が出てきておやと思い、「絶壁に据えられたドイツ軍の大砲を小人数で爆破し、大砲の標的から、2000人の味方の命がかかっている船団を救う」というストーリーに引き込まれているうちに最後まで見てしまいました。「戦争もの」ではスパイがいるのが常道で、「うーんこいつが怪しい」「いや怪しくなさそうなのが一番怪しい」といろいろ考えながら見るのも楽しいです(この映画に出てくるスパイはとってもとっても可哀相でした)。
**「ナバロンの嵐」は、ストーリー上は「〜要塞」の2年後の設定で登場人物も重なっていますが、演じる俳優陣はがらりと変わり、今度は「橋を破壊してナチスの侵攻を防ぐ」というまたもやどきどきはらはらの内容でした。ハリソン・フォードの若々しいのが何より嬉しくてそれだけでも見てよかったです。やはりここでも裏切り者が、、、「何で気がつかないんだ」と見ていてじれったくなってきました。
もしどちらも未見の方には、「〜要塞」「〜嵐」の順に見ることをおすすめします。

『火垂』『ローサのぬくもり』『ロアン・リンユィ阮玲玉』

春声@
2001年6月、映画に見た“女たち”。
立て続けに3本観た『火垂』『ローサのぬくもり』『ロアン・リンユィ阮玲玉』は主人公の“女性”の生き方が、<日本、スペイン、香港という国それぞれに描いてあって、どれもみなよかったです。時代設定は、『火垂』『ローサのぬくもり』が現代。『ロアン・リンユィ阮玲玉』は1929年頃の上海の映画撮影所、トップスターとして活躍した実在の女優の不幸な話で旧作。公開時に見る機会がなく、ずっと遅れて、ビデオでの観賞ですが。
『火垂』は、同じ不幸な“女”を描いても『朱の朱雀』の河瀬直美の監督・原作・撮影になる2000年の新作映画。今年は東映にも同じ読み方の映画『ホタル』が。思えば世の中には2つしか性がないから映画界にも女性の占める位置は“すごい”ものがあるのは理の当然だとは思いつつ。『火垂』に出てくる“火の女”あやこ――ストリッパー26才。少女時代の母との不幸な体験から、現在に生きてくるまで、幸せ薄い。その細い体つきを、初めて見る女優中村優子という人を河瀬(仙頭)直美監督が感動的に描いていました。導入部分の難解さも、半ばまでくると、想像どおりの心の中の“イメージ”がきれいに河瀬直美の映画の中にも定着できて、ラストに至って、トップシーンとのきれいな整合性に思わず私はうなりました。
『ローサのぬくもり』の主人公はスペインの田舎で暮らすローサ。ローサには35才になる都会に住んできびしい現場労働をしている独身の娘がいる。頑固で短気なつれあいが病気になって娘の住む都会に入院することになり、ローサは娘のアパートにしばらく同居。ここからストーリーが始まっていきますが、いろいろな展開を受けて、夕陽を浴びて椅子にかけているローサの後姿がシルエットになる。いいですね。原題“Solas”は“ひとり”“孤独”の意味。現代スペインの表に見えない部分で、営営と生活を営んでいる人たちがいるんだなあと、思わず認識を新たに出来る映画でした。1週間モーニングショーのみの公開では、計7回の公開だけで終わってしまう。ローサの暖かいぬくもりをいっそう強める感じのあるのが、都会の娘マリアを演じるアナ・フェルナンデスの“鋭さ”、”いらだたしさ“でした。
『ロアン・リンユィ阮玲玉』は、スキャンダルネタの格好の的としての大女優ロアン・リンユィ。彼女へのオマージュとして捧げられた感がありました。マギ−・チャン出演。過去の実像にせまろうとした試みで、歴史の事実の正否如何とか、状況のよってきたる所以は何だったかを問う問題へのアプローチもよいでしょうけど、単なる女が一人、男が二人という関係が、社会に翻弄されていく様子の映画として、ごく日常の普遍的な問題に“ふりかえて”考えてもそれはそれでよいのではないのかと思えました。どうして彼女は自殺せざるを得なかったのであろう。“生きてはいけなかったのか?”“個人の心情、性格だけの問題でしょうか?”厳然としてまず一義的にあるのは“個としての生き方への強さ”が必要だとは思うのですが――。ロアン・リンユィは25才にして服毒自殺。
以上観賞順に。

シネマウォークin福岡

HN
独断性100%梅雨時の福岡シネマウォーク“プランプランシュンセイ”◎は偏見にもとづくHNおすすめというか”私が見たい”映画です。
◎『ローサのぬくもり』スペイン1999年 カラー 98min ベニト・サンプラノ監督出演:マリア・ガリアナ アナ・フェルナンデス カルロス・アルバレス=ノボア6/23〜シネテリエ天神(モーニングショー11:00〜のみ)現代スペイン映画についての講演録中にこの映画の名前がでてきた!!
『どつかれてアンダルシア(仮)』スペイン1999年 カラー 100min
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督スペイン流どつき漫才
6/30〜KBCシネマなにせスペインかぶれなものでして――HN
『ビョークのネズの木――グリム童話集より』86年 アイスランド
6/29まで20:50〜22:13 シネテリエ天神
あのビョークの映画デビュー作なんですって。
『ブラックボード〜背負う人〜』イラン 2000年 カラー 85min
サミラ・マフマルバフ監督(モフセン・マフマルバフ監督の愛娘の第2作)
7/7〜シネテリエ天神(レイトショーのみ)
1作目はわたくし評価きびしいのですが―――さて今度は?
『アカシアの道』2000日活松岡錠司監督原作:近藤ようこのマンガ
7/7〜シネサロン・パヴェリアMさんが東京で観賞されたそうです。
鈴木清順の旧作特集シネリーブル博多駅
6/23〜◎『ティゴイネルワイゼン』◎『陽炎座』『夢二』
7/7〜◎『殺しの烙印』◎『東京流れ者』『けんかエレジー』
上記3本レイト◎はHNおすすめ『殺しの烙印』未見ですが有名な映画らしい。
ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』
6/23〜シネリーブル博多駅(レイト)
この3本のことを殆ど知りません。誰か教えて、必見作があるのでしょうか?
時間的にも観賞不能でしょうが―――。
今なら(6/20)福岡で観賞できるもの
『JSA』『トラフィック』『チェコアニメ映画祭2000』
Mさんが見た→『ホタル』
Tさんが見た→『ナンナーク』
Kさんが見た→『タップ・ドッグズ』『火垂(ほたる)』
Nさんが見た→『Stereo Future』など。
図書館は、地中海沿岸の国の映画,来月はイタリア・カナダ特集。
なにかと気ぜわしい昨今ですが。ローカルネタで失礼しました。

言い伝え

泉川坂井
「夜爪を切ると親の死にめに逢えない」でしたか。「夜口笛を吹くと蛇が出る」たぶん夜静かにしなさいということだろう。
「歯を抜くと屋根に放り投げなさい。」韓国映画「達磨は東に行った」とかいう映画があったが、その映画で韓国の少年が抜けた歯を屋根に投げてるシーンをみたときはびっくりしました。韓国から伝わったのですね。
「雷がなったら蚊帳に入れ」
「へそを出して寝ていると雷様にとられる」そんな言い伝えはありましたかね。私の母親がそんなことを言っていたような気がする。
そんな言い伝えは今もきちんと子供に伝わっているのだろうか。私もだいぶ昔に言われたので忘れかけています。

『SFサムライフィクション』

泉川坂井
時代劇です。
近年では珍しいモノクロ映画、一部カラーもありますが。黒澤明を好きと監督がいうだけあって、時代劇のおもしろさが随所にでてますね。で近代的感覚で、布袋の音楽も素晴らしいですね。出だしのあの映像センスはすごい。忍者のスピード、若さはちきれる若い映画ですね。カメラワークというかカメラの動きが素晴らしい。でユーモアが溢れていて、笑えて−−。みんな時代劇の顔をしていて、サムライの顔をしていて、あのまま江戸時代に行っても十分生活できる人間になってました。そのぐらい時代劇の雰囲気が出てます。
もう一本タイの映画を始めてみました。仏教国なのにセックスシーンが大胆に描かれていてびっくりしました。アメリカ映画「ゴースト」のタイ版ですが、ちょっと怖い、耳なし芳一的世界もありますが、愛の強さを映画いて、タイでは凄い人気の映画らしい。

『山の郵便配達』

春声@
『山の郵便配達』那山 那人 那狗 POSTMEN IN THE MOUNTAINS
1999年中国/カラー/ビスタ/93min  キネ旬・エフプロモーション・東宝東和共同提供
監督:フォ・ジェンチイ(霍建起)  原作:ポン・ヂェンミン(彭見明)
脚本:ス・ウ(思蕪)
出演:トン・ルゥジュン(滕汝駿)リィウ・イェ(劉Y)ジャオ・シィウリ(趙秀麗)
福岡シネサロン・パヴェリア2001/05/05観賞
1980年代初期、中国湖南省の山岳地帯。郵便配達を勤めてきた父親から、息子に後を継がせる。引継ぎ作業のために、愛犬“次男坊”と三人で歩き尋ねる山道と集落。仕事を終え母親の待つ家に帰る二人。次の配達に出かける息子と“次男坊”の姿。
【感想】
あらすじは三行で書けるように殆ど事件らしき事件も起こらない静かな映画ですが、あまり険しくはない山岳地帯の緑の景色をきれいに撮影していてあきさせない。警察犬を使って“次男坊”を撮影したそうですが、このイヌちゃんしっかり演技していて4番目にキャスティングにあがって当然なぐらい。息子を演じるリィウ・イェは1978年生まれというから23才で初々しい男衆。トン・ルゥジュンという俳優は“いかにもお父さん”の役に見事になりきっているようでした。こういう風に家庭の中で社会人としての“仕事”を受け継いでいければ、それは模範的に立派な“継承”だと感心。孫から送ってくる手紙を読んでもらう目の見えない老女のエピソード。このおばあさんの綺麗な顔立ちにひかれました。
たねもしかけもあった手紙の中身。ここは実を言うと、画面では気がつかなかったのです。岩波のパンフレットには山崎朋子さんの30年前、九州天草での体験が書かれていて、面白く読みました。このおばあさんの綺麗な顔立ちにひかれました。文部省も優秀映画観賞会もペンクラブも東京都知事も推薦しています。

『ほたる』

映画サークル会員
映画の日と言う事で、佐賀大和のジャスコにあるイオンシネマに行ってきました。ココもマイカルやAMCなどのシネコンに負けない座席とスクリーン、そして二つの車椅子が参加できるエリアを持つ立派なスクリーンを持っていました。
映画の日でも有り、今年の邦画一押しと思っている「ほたる」を観てきました。何で蛍なのかと思っていましたが、最初の蛍はなるほどと思うのですが二度目はどうもいただけない知覧を題材にしているだけに私としてはそれだけで感極まりそうな題材なのに、二度目の蛍はいけない。韓国からも特攻隊員がいたというのは衝撃的な内容ですが、健さんが上手くまとめてくれていますね。
「ムルデカ」は評判に載せられて観ましたが金返せという映画でした。この手の映画はプロデューサの意向がはっきりと現れますね。久し振りに途中で出ようかと思ったくらいでした。同じ戦争を描いても、「パールハーバー」は「トラ、トラ、トラ」と内容が異なりますよね。撮る時代もあるだろうけど、あまり政治や宗教の為に映画を利用して欲しくありませんね。でも、「JSA」は面白かったですね。シナリオがユニークだし、映像も「シュリ」よりずっと締まって見えた。特に、イ・ヨエンさんには憧れっぱなしでしたね。
「ショコラ」は勿論ご機嫌でしたしシナリオまで買ってしまいましたが、「FightersBlues」で常盤貴子さんがバイリンガルで活躍していたのには驚きでしたね。TVの彼女とは違う存在がありました。ことしは映画を劇場でと思い何とか28本征服しましたが、やはりビデオでは味わえない瞬間の味わいを感じます。「ほたる」で新しい健さんを探してみませんか?

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