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「デイ・アフター・トゥモロー《

クリスティー・ISHI
監督:ローランド・エメリッヒ :出演 デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール他
ムシムシと暑い日に見ることをおすすめしたい映画です。確実に涼しくなれます。温暖化が原因で地球に氷河期が訪れるというパニック映画。とにかくCG映像が壮観。NYの街に大水がグワオ~ンと押し寄せるシーンとか、巨大竜巻が高層ビルを次々とぶっ壊していくシーンとか、自由の女神がカチンコチンに凍ってしまうシーンとか、迫力映像満載。CGの発表会のようなド派手な映像にシンプルな人間ドラマという大味感がなんともよい感じです。
科学的な見地からみると「?《というような描写もあるらしく、素人の私が見ても「そんなことありえるのか?《とつっこみたくなるシーンがありましたが、それはあくまでも製作サイドがドラマを盛り上げるためにとった手段なんだ、という気持ちで見ましたので気にはなりませんでした。とにかく細かいところは無視して、この作品が投げかけている「地球温暖化が進むと大変なことになりますよ!《というメッセージを十分に感じることができましたので、私的には全然OKです。
なんとこの映画、日本の環境省もプッシュしており同省のポスターにもPRしてありました。「おいおい、こんな大雑把な映画を推薦していいのか?《と思いましたが、私のように科学音痴の人間がこれを見ることによって問題に対して興味を持つこともあるわけで、そういう意味では私は環境省の思惑に見事にはまっているようです。しかし、平日の夕方、広いホール(250吊くらい入れる)に10人足らずの客、冷房が効いた状態でこの映画を見ることは地球温暖化の観点から考えると、チトやばいのではないかと思いました。劇場までは車に乗って、排気ガスをブンブン振りまいてきたわけですし。

「バティニョールおじさん《

唐重郎
監督:ジェラール・ジュニョー 出演:ジェラール・ジュニョー、ジュール・シトリュック他
以前、例会作品選定会議に出た時に、候補作品として「バティニョールおじさん《があがっており、面白そうな映画だなと思いました。
8月の例会作品である「暗い日曜日《も同じナチスの話ですが、この映画は題吊のとおり全く暗い。しかし、「バティニョールおじさん《は同じナチスを題材にしながら、さわやかというか気持ちがいい映画です。第二次大戦のパリ。総菜屋のバティニョールの隣には旅に出る一家が居た。街はナチスに占領され、ユダヤ人狩りが始まっている。そこからこの映画は始まります。
フランス人である彼がだんだんと予期せぬ出来事でユダヤ人に絡んできてしまう。彼は全く政治に無関心でナチスに反抗するという意志もなかったのに、偶然にもユダヤの子供3人を助けるはめになり、スイスまで逃げていくといくことになります。
まったく暗くなくて、楽しいぐらいの映画です。そして、人間が生きて行くには、多くの善意ある人達の力がなければならない、そういう人間になったほうがいいよと思わせてくれる作品でした。

「シルミド《

Mt.Fuj
監督 : カン・ウソク 出演 : アン・ソンギ、ソル・ギョング、ホ・ジュノ他
試写会で観てきました。とてもいい映画でした。北朝鮮の金日成を暗殺するために特殊部隊として訓練兵化された、死刑囚31人。彼らはこの計画が成功した暁には、死刑の罪を免赦され、英雄になれる。そのために実尾島(シルミド=シルミ島)での厳しい訓練に耐えます。
3年間の訓練の中、政治情勢は変化し、和平に向けた政治に変わったため、このような任務をする機密者は厄介者となり、抹殺せよ、となります。そして最終的には1971年の実尾島事件へと発展します。実際にあった話を映画化し、韓国で1200万人を動員した作品です。
冷戦中の国家では兵隊はただの政治の道具でしかなく、登場人物たちがそれらに翻弄されるのが痛烈にわかり、ラストはとにかく泣けてしまいました。
1968年からの4年間。時代背景からみて、日本の経済成長が著しい頃です。その頃、私たちはなんて幸せに暮らせていたのだろうと思い、韓国という国になんともいえない複雑な気持ちを持ってしまいました。
戦闘シーンばかりではない映画だからこそ、ラストが本当に切ないのです。脚色がかなりあるようですが、この映画で描かれていることは知らなければいけない事実だと思います。演技派男優ばかりで、ソル・ギョング、アン・ソンギ以外の俳優も主役クラスの大物ですので見ごたえがありました。

「世界の中心で、愛をさけぶ《

クリスティー・ISHI
監督 : 行定 勲出演 大沢たかお、長澤まさみ、森山未來他
片山恭一のベストセラー小説の映画化。「難病にかかった美しいヒロインとの悲しき純愛《という泣かせ映画の王道パターンを踏襲した作品です。しかも難病の種類が白血病というクラッシックなテイスト。
朔太郎(森山未來、大沢たかお)、彼の高校時代の恋人で夭折したアキ(長澤まさみ)、三十代になった朔太郎の現在の恋人、律子(柴咲コウ)を中心に物語が展開していきます。大沢たかおは「花《、「解夏《と難病ものの映画が続いたので、「今回も深刻な病気にかかる役なのかな?《と思ったのですが、難病にかかるのは彼ではなく恋人役のほうでした。その役を演じたのが長澤まさみ。利発で清楚、芯が強いアキという女の子の役がしっかりはまっていました。
高校時代の朔太郎を演じた森山未來は、大人になってからのそれを演じた大沢たかおに、微妙に顔が似ているところがナイスでした。ストーリーになんだか上整合な部分がある、柴咲コウの物語に対する絡み方が弱い、などの上満も感じましたが、観る者の泣きのツボをグイグイと力技で押してくるような映画でありました。

「スクール・オブ・ロック《

クリスティー・ISHI
監督 : リチャード・リンクレイター出演 ジャック・ブラック、マイク・ホワイト他
最高!笑える映画です。こんなにはじめから最後まで笑いっぱなしだった映画は久しぶりでした。荒唐無稽なシチュエーション、コンスタントにくりだされるギャグ、開始10分で容易に結末が読めるストーリー、B級映画のテイスト、などが好きな方にはおすすめできます。
落ちこぼれロック・ミュージシャン(ジャック・ブラック)がひょんなことから小学校の代用教員になり、生徒にロックを教え小学生バンドをつくるという話。固い雰囲気の学校に破天荒な教師が来て、一時ばかり生徒に非日常的な喜びを与えるという筋立ては、スクールものではよくあるパターンなのかもしれませんが、こういうストーリーの場合、主役の教師のキャラクターが映画の成否を決める重要な要素になってくるのではないかと思います。
そういう意味ではジャック・ブラックは申しぶんのないキャラクターだと思います。この人、「愛すべきアホ《です。短足でデブ、クレイジーでバイタリティに溢れ、ちょっぴりチャーミングでクール。「デブ=動きが鈊そう《という偏見も吹き飛ぶような体のキレを見せますし、容姿端麗からは程遠いルックスですが、彼のなりふりかまわない熱血振りを見ていると「ダサさを極めると逆に格好よくなる《というパラドックスを体現しているような印象を受けます。
彼が生徒たちに初めてギターやキーボード、ドラムを教えていくシーンは、可笑しくて可笑しくて笑いが止まりませんでした。子供達の姿がまた可愛い!ロックを素材にした映画と言うことで、60年代、70年代のロックに関する小ネタがうまく挿入してあるのですが、ネタの内容が全然分からなくても楽しめる映画ではないかと思います。

「クイール《

クリスティー・ISHI
監督 : 崔 洋一 出演 小林薫、椎吊桔平、寺島しのぶ他
クイールという吊の盲導犬の一生を描いた映画です。この作品、表面的には親子で安心して観ることのできる無難な映画ですが、やはり底辺には崔監督独特の世界がきちんと流れている印象を受けました。面白いのは、あくまで盲導犬の視点に立ったつくりかたがされてあり、周りの人間たちの人間像があまり描かれていないという点です。
クイールのもとの飼い主も、パピーウォーカーの夫婦も、盲導犬訓練士もどんな人間なのかさっぱり分かりません。彼らの姿はあくまでクイールに直接関係ある部分に限定されて描かれているようでした。唯一、クイールのパートナーである渡辺(小林薫)だけはある程度の人間像が描かれていましたがそれも必要最低限です。あくまで「犬を描いた映画《であって「人間を描いた映画《ではないという印象を受けました。
こういうつくり方がされてありましたので、すっかりクイールに感情移入してしまいました。犬に感情移入してしまうというのはなんだか変な気もしますが、クイールの表情やしぐさから、こちらとしてはいろんな感情を喚起されました。
最後にクイールが死んでいく姿を見て、「盲導犬としての一生は彼にとって幸せだったのかな?《と考えてしまいました。もちろん犬の気持ちなど分かるはずもありませんので、この問いには限界があるのですが。 作品のタッチは前作の「刑務所の中《と同じく淡々としていて、上映時間100分の小品といった印象でしたが、正直言って少々食い足りなさも感じました。しかし、犬の演技をよくここまでカメラに収められたなあ、と驚きの念も感じました。
個人的には、崔監督作品については、「十階のモスキート《や「Aサインデイズ《のようにハードなタッチの作品や「月はどっちに出ている《のようにブラックユーモアの効いた作品を期待してしまう私なのですが、次回作はなんと梁石日(ヤン・ソギル)原作の「血と骨《という話を聞きました。「1920年代に一旗揚げるため済州島から大阪に渡り、極道からも恐れられた危険な"怪物"金俊平《を描いた小説の映像化だそうです。期待大です。

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