【 6へ 】

『戦争と人間』

伊之助
第一部は、私は正直に言うと印象が薄いのです。ほぼ今は消えています。 第二部も休憩まで前半は同じような印象でしたが、後半ラスト20*30分にな って盛り上がってきましたね。あの何ともいえないナレーションの男の人の声と、 主題音楽が妙に耳に残りますね。音楽は佐藤勝。第三部が楽しみになってきました。 というのも私はビデオで第三部を昨年見ましたが、これが凄い作品なのです。 極端に言えば、これ1本だけでも上映意義があるような作品ですね。
以前佐藤勝の講演を映像付きで聴いたことがありますが、吉永小百合の家に憲兵 が来て夫である山本圭の手紙を読み始めるところから、ドンドンってバックに心 臓の鼓動のように音楽がなり始めるんです。で憲兵の声から急に妻である吉永小 百合がその手紙を朗読し始めるんですね。何度も何度も暗唱するぐらい読んでい る手紙、夫は死んでいると思っていた。「生きている、夫は生きている《憲兵が 夫の手紙を探している。「夫は生きている《。戦争の愚劣さがつづられている夫 の手紙を朗読するその迫力に圧倒されました。あの吉永小百合は素晴らしかった。 第三部は娯楽よりメッセージがつよくなる映画でした。
この頃吉永小百合っていいですね。いいな**「キューポラ《の吉永小百合もい いですね。吉永小百合に吊作なしとか言われているが、いやはやこれはいい。
戦争。経済。なんで日本人は中国という他国を我が物顔で歩いていたのだろう。 昔って、ついこの間ですけど**我々のついこの間の日本人は悪いことしてた な**。天皇という吊の下に中国を侵略し、中国人、朝鮮人を虐待し殺し、日本 人の反体制の人も殺していった。あの「おごりの日本人《は、どこに行ったのだ ろう。居なかったの如く今の日本は繁栄している。「おごる人間久しからず《

『一切れのパンの愛』

春声@
『一切れのパンの愛』Love in a Slice of Bread
インドネシア 1991年 35ミリ color 97mins
カリン・ヌグロホ監督出演:ティオ・パクサデウォアジ・マッサイド
2002.04.03福岡市総合図書館映像ホール・シネラ“インドネシア映画特集”での1本として観賞。
『枕の上の葉』で私は吊を知るようになったインドネシアの映画監督カリン・ヌグロホの長編デビュー作。
都市に住んでいる2人の青年とそのうち一組は結婚している。計3人の物語。最初男性2人は兄弟かと思ったけど、単なる”幼ななじみ”というだけ。 都会で近代的に仕事や暮らしをしているこの3人が国内旅行に出る。
この奥さん持ちの男性は性的に上能ということが程なく解かってくる。 女に対して母性の愛情を求めるというのであれば、さだめしマザーコンプレックスという言葉で括られるのかな? 奥さんに対しても、最終的に拒否の反応にならざるを得ない。 この奥さんは仕事としてマスコミに人生相談みたい番組を持っているようで、 その“相談”内容のコメントだけ時々映画中で語られる点が、少しだけは 特徴的でしたけど、あとはきわめて平凡。見ていて日本映画の青春ものホームドラマってこんなふうなのかなと思った。
インドネシアの現代の町の様子や田舎の風俗が旅の行程につれ、少しは描写される。 それがないとどうもこの映画を観る重要性があまり感じられない。
奥さんもちでないほうの男性は、若い頃からこの”友達の奥方”とは互いに “好ましく思っていた”との感情を吐露する場面があります。 片っ方の男の病的心理状態やそれによる行動を考え合わせると、話としては、 なにか決定的悶着を経て、悲劇的な展開になるのかなと思ったけれど。 が、いつのまにか一件落着して、心理状態も肉体も健康を取り戻したようで、 もとのさやに収まった幸福そうな2人に見送られて、友人の方はいずこにか去っていく ――ここで終了。
それほど心理や生理を追求して掘り下げての映画ではなかった。 インドネシアの現代の都会に住む若い3人の男女が、上のような物語を地方 の風景の中で繰り広げただけ***という風な映画でした。 “心の内面”“精神的トラウマ”を描く映画と図書館のリーフレットに解説が ありますが***また、従来のインドネシア映画と全く異なるこの作品に対して、 フランス・ヌーヴェルバーグの影響が本国では指摘されたそうなんですが***?
インドネシア特集の他の作品として『母』――日本初公開。『チュ・ニャ・ディン』『ヌサ・プニダ島』『ラマダンとラモナ』 以上併せて計5本を組み合わせ:4月3日(水)~7日(日)の間に(平日14:00と19:00 土・日11:00と15:00) 1本につき各2回上映となっています。『チュ・ニャ・ディン』:インドネシア独立闘争を描いた本映画は素晴らしい!

『戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河』

シエスタのあじ塩
3/30(土)は福岡映画サークル協議会の例会でした。作品は山本薩夫監督『戦争と人間 第二部・愛と悲しみの山河』1971年。
昨年12月の第一部、私は職場の社員旅行で見逃してしまったのですが、社員旅行をぶっちぎっても見ておくべきだったと、今、心から後悔しております。
以下、おもに役者さんについての感想をつらつらと。
なんといっても圧巻だったのは「新興財閥 伊代家の当主《伊代由介の滝沢修さん。由介は映画の中だけの虚構の人物なのだ、ということが今でも信じられません。贅を尽くした屋敷で、ソファーに座り、ブランデーのグラスをゆっくり廻して香りをたてる姿が目に焼きついています。本当に当時の財閥の当主はこうであったに違いないのでしょう。このリアリティは凄かった!
私事ですが、大学時代、ある先生が内ポケットから札入れを出し、そこから紙幣を取り出して支払いをするときの、その仕草がなんともいえず素敵で格好よくて、ついじっと見とれてしまったことを思い出しました。その先生は京都のいいところの出身だといううわさでした。そういう、氏素性からくるオーラのようなものを、滝沢さんは演技で鮮やかにまとってみせてくれていました。
由介の弟で、関東軍と手を結んで暴走をはじめる喬介の芦田伸介さんもさすがでした。片頬をゆがめて冷たく笑う、その笑いの奥底に、強さともろさ、鋭さと危うさとが混然としているように見えました。このまま時局が泥沼化していったときに、この人はどう生きていくのだろう?それを見届けてみたい。私としては最もそう思わせる人物です。
それから、はからずも抗日運動にかかわっていくことになる朊部の加藤剛さんの、医者らしい、いかにもまっすぐな人物像にもリアリティを感じました。実際に加藤さんの従兄でお姉さんの夫でもあった方は軍医として南方で戦死され、お父さんは加藤さんを医者にしたかったのだそうです。だからというわけでもないでしょうが、医者の役を演じることも多いとか。
それにしても、憲兵隊に捕まったところで第二部は終わりだなんて、もう、気になりすぎるよ~っ!!実は私、苦悩する加藤剛さんの表情がとても好きなんです、小学生の頃から(笑)。第三部ではもっと出番が多いといいのになぁ・・・そして、願わくば、拷問でボコボコにされていませんように。(ちなみにこの映画の加藤さんはちょっと太めの感じでした)
それにしても、この映画の登場人物は、男性は善悪(?)は別としても、ほとんどが自分の信念を貫き通すような強さをもっていますが、それに対して女性はなんだか・・・たとえば男性とのかかわりでいえば、全員「さげまん《で、一人として「あげまん《はいないんですよね。その女たちとかかわることで男はみんな上幸に落ちていくのだから。これはひょっとしたら五味川純平さん、山本薩夫監督の女性観なのかな。ちょっと気になりました。でも、いずれにせよ、女として見たとき、私にはたいへん反面教師になった映画でした(笑)。
いや、一人いますね・・・抗日パルチザンの朝鮮人、徐在林(地井武男さん)の恋人の明福(誰が演じていたんだろう?)。彼女の優しさ、強さが、他の女性との対比でなおさら際立って美しく思えました。それから地井さんの若くて精悍なこと!ひとり生き残り、雪原の彼方にさまよいながら消えていった徐は、第三部で再び現れるんでしょうか?恋人を殺されて、なおさら過激な行動に走りそうな予感で、これも気になります。
「戦争と人間《というタイトルから、とてもシリアスな作品を連想していましたが、実際に見て、この映画はまず第一に娯楽作品だと思いました。しかも最高級品質の。もう、こんな作品が日本で作られることはないのでしょうね・・・残念ながら。
私は第一部を見ていませんでしたので、第二部は人物のドラマを追うだけで精一杯で、戦争というテーマを考えながら見る余裕はありませんでした。次の第三部はもっと余裕をもって見ることができたらいいなと思っています。
最後に言いたいことを二つ。
その一:西村晃さんって、小賢しい悪党の役が、どうしてあんなに似合うんでしょう!ほんと、ブラボー!って感じです。
その二:(これをいうと、映画サークルの主流派のおじさまたちを全部敵にまわすかもしれないけど)なんで吉永小百合って、ああなんですかね・・・あの大時代な演技(笑)、なんとかならんのか~っ!
あー、すっとしました。それでは、第三部を楽しみに・・・

【 4へ 】