初めて集団生活を経験する4歳児の、幼稚園入園から夏休みまでの記録。お話を作るのが大好きなみーこと、やんちゃ坊主ぼーちは家が隣同士の幼なじみ。ちょっと引っ込み思案のおおはしせいじくん、フロンティア精神旺盛なあおやまひろしくん・・・。個性豊かな子どもたちが集団の中で日々成長する姿をみせてくれます。
【作品解説】
『ともだち』は、その撮影当時、機動力のあるノイズレスのカメラがなく「カメラの回転音がマイクの邪魔をし、カメラが接近すると子どもの前にマイクがあって邪魔をする」という状況で、「音は画に従属するものなのか。独自性があってもいいではないか。両方の最大限のよさをぶつけ合ったらどうだろう」と試行錯誤を重ねた結果、映像と音声は必ずしもシンクロしていません。その隙間を埋めるようなナレーションと、子どもの気持ちをあらわすライトモチーフのような効果音楽のおもしろさが映画の魅力を高めています。時枝監督の「映画的設計力が透けてみえる(土本典昭監督)」とも評された作品です。
すっかり仲間同士の社会を作り上げた幼稚園年長組の子どもたち。なかでものぼるは人望の厚い、頼れるリーダーです。でも、周りのみんながのぼるにくっついて回るだけの状況になってしまったことが先生には気がかりです。のぼるが幼稚園を休んだある日、先生は思い切ってのぼる抜きで新しい遊びを始めるようにみんなに仕向けるのですが・・・
【作品解説】
『子どもをみる目』では、保育者からの要望に応えて、子どものあるがままの姿を記録することに最大の注意が払われています。専門の保育者も舌を巻いた時枝監督の"子どもをみる目"の確かさと、「撮影の合間にできるだけ子どもに接して子どもたちの性格をおぼえた」「ひとりの子どもの表情から、他の子どもの次の行動を予測できるように心がけた」という撮影スタッフの努力が結実した作品です。